小学校のときだと思います。
友達が飲んだジュースの空き缶を川に投げ捨てました。
私はその行為にとても腹が立って、「なんで空き缶を川に捨てるんだ?川が汚れるだろ!」
と言いました。
すると、友達は「俺一人が捨てなくても、川はすでに汚れているし、大差ねぇよ」
私は言い返せませんでした。
でも今は違います。
その一人ひとりの自分勝手な行いが地球を汚して、環境を壊し、私達の体の健康までも壊していることを知っているからです。
私の家は親は農家ではありませんでした。
普通の住宅地とまばらな田んぼが混在する郊外で育ちました。
環境問題に興味があって、植物について学びたくて、岡山大学農学部に入りました。
大学院まで進み、乾燥や病気に強い遺伝子の構造を調べるなど、品種改良技術の基礎研究をやっていました。
研究者になるつもりで大学院を合わせて8年も大学にいたのですが、壁にぶち当たり、そんなとき本田健さんの「ライフワークで豊かに生きる 」という本を読み、自分の本当にやりたいことを見つめなおした結果、農家になるという道が自分の中で輝き出しました。
大学を去った後、香川のレタス農家(法人で減農薬栽培)で3カ月、群馬の有機栽培農家で3か月ボランティアアルバイトをして実際の農作業を経験しました。
その生活はとても充実したのもので、自然の中で、大地の恵みを育む農業の面白さに夢中になりました。
ただ、資金が全くゼロだったことや、人生のパートナーもいなかったことで、現実的にしばらく研究職のサラリーマンをやってました。
その間、書籍やインターネット等により無農薬栽培の情報を集め、岡山県北部の中山間地域の親戚の畑で野菜の栽培を実践し、農業ノウハウの習得に努めてきました。
そして人生の伴侶に巡り合い、結婚。
子どもも生まれ、妻の理解も得られ、自分の生まれ育った街に流れる足守川の上流のホタルが飛ぶ足守という歴史と文化と里山の自然豊かなところに家を建てて、一生をかけて大地を耕すことになりました。
親には当初からずっと反対されてましたが、今ではずいぶん協力的になってくれました。
大学での基礎的な知識も活用し、有機農業界では有名な小祝先生に科学的な栽培理論を学び、自然環境を壊さないよう、食べる人の心と体をきれいにする、無農薬、無化学肥料の有機栽培を行っています。
4年目である2014年にハウスを建設し、トマト栽培を経営の軸にして、経営を安定化させました。
今では足守をより良い形で未来の子どもたちに引き継ぐことを目的とした一般社団法人あしもり遊学舎の理事にもなり、地元産品を軸に持続的な循環型社会の実現に向けて、日々学び、実践しています。
自分で工夫して、自然環境に負荷をかけない持続的な有機農業で、美味しくて心も体もきれいにする野菜を作って、いろんな人に喜んで買ってもらって、農家として生計を立てられて、家族が幸せならそれが一番だと思ってます。
その結果、同じように農業をしたい若者に道が開け、日本が自然豊かなよりよい国になればいいと思っています。
読んでくれた皆さま、ありがとうございます!
なかやま農場 農場長 中山壮一郎