なかやま農場の成長の証 日々の農作業や業務をレポート!
2020年
10月
16日
金
2020年
10月
02日
金
私は普段自分からは決して外国産の肉を買うことはありませんが、先日、妻の職場で慰労会の開催がコロナで出来ない代わりに、焼き肉セットが配られました。
何パックかの詰め合わせで、一部を除いて外国産の肉でした。貰ったものだから、たまにはいいだろうと思い、食べたのですが、食べた後、酷い胃もたれを起こしました。
私は有機農業を10年以上営んだ結果、一つの結論に至っています。
それは「質の良い物を作るためにはその材料にも良い質のものを使うこと」です。
野菜で言えば質の良い野菜を作るためには質の良い肥料が必要です。質の悪い肥料を使うと肥料に直接触れる根が傷み、良い野菜は決して作れません。
人や動物でいうと当然食べ物が重要なのです。質の悪い食べ物を食べると腸内環境が悪化します。野菜の根に当たるのが腸ですね。
腸が傷めば当然身体は何かしらの不調をきたします。人間の免疫力の6~7割は腸で作られると言われており、ウイルスや病原菌への抵抗力を落とし、細胞の癌化も抑えられなくなります。
話を元に戻しますが、外国産の肉がすべて質が悪いと言いたい訳ではなく、当然質の良い肉もあるでしょう。ただ、今回外国産の肉を食べたことで、国産の肉ではあまり身に覚えのない胃もたれを起こしたことから、恐らく質の悪い餌で育てられた牛だったのではないかと思うのです。
私の家のすぐ近くには安富牧場という牧場があり、そこでの牛の飼い方を見ると、なるべく手間をかけて牧草を集めて与えたり、快適に過ごせるように工夫し、とても牛を大事にしていることが分かります。
それは経済的な収入源としての大切さ以上のものです。命を育て、それを自分たちの糧として頂く以上、責任を持って大切に育てることは当たり前だという精神だと思います。
日本は古来より自然と敵対することなく、むしろ一体となって長く暮らしてきたという精神文化があります。
有名な俳句である「朝顔やつるべ取られてもらひ水」のように、朝顔にも配慮する精神性は欧米人にはあまりない感覚だと思います。
経済合理性を安易に追い求めていくと、見に見えにくいところから徐々に質の劣化が起こります。食べ物の劣化が人の劣化に繋がると思って間違いはないと思います。
なぜなら食べたもので人は作られるからです。
今のところ、日本の畜産農家さんの努力と高い精神性のおかげで、まだ国産の肉の方が外国産より質が良いものが多いとは思いますが、日本の畜産農家さんも経済的に追いつめられています。
外国産との価格競争を強いられれば強いられるほど、輸入飼料の割合が高くなるなどの餌の質の劣化を通じて、肉の質の劣化が起きていくのは必然でしょう。
国内の農家は消費者の健康を支えるために質の良いものを作り続け、消費者は国内産を購入することで国内農家を経済的に支えることが地産地消の大事なところだと思います。
私も質の良い農産物を作り続けられるよう、頑張っていきますので、応援をよろしくお願いします。
2020年
9月
20日
日
以下のような的はずれな記事が出回っていますが、そもそも母乳に除草剤成分が検出されたのに問題ないと思えるその感覚がおかしいことに気づけないことが問題です。
脳の発達において重要な時期である乳児期への影響が皆無な訳ありません。
記事の中に出てくる「一日摂取許容量」(一生の間毎日食べ続けても健康に影響はないと思われる量)ですが、何で決められるかと言うとマウスなどを使った動物実験です。
当然、長期的な影響をみるものではないですし(最長で1年間)、乳児期の脳の発達への影響を評価したものはありません。
以下はグリホサートなどの農薬が自閉症スペクトラム障害に関連することが科学的に指摘されていることを伝える記事です。(英文なのでgoogle翻訳などでページごと翻訳すれば大体の意味はわかります。)
グリホサートを含む農薬への早期暴露が自閉症のリスクを増加させる
日本でも急増している発達障害は社会的大問題です。
乳児期は脳の発達にとても重要な時期です。脳の神経ネットワークは2歳までに60%が作られます。
母乳からグリホサートが検出されたこと、グリホサートが神経伝達物質グリシンに類似する化学構造をもつこと、グリホサートがNMDA型グルタミン酸受容体に作用すること、NMDA型グルタミン酸受容体が自閉症、発達障害などに関連していることなどが分かっており、普通に考えて、使い続ける道理がありません。
子どもへの影響だけでなく、発がん性、アルツハイマーやパーキンソンへの関連や、生殖細胞への影響、さらには腸内環境への悪影響から免疫低下要因もあります。
人間への影響だけではなく、ミツバチなど昆虫への影響も指摘されています。
そのためEU諸国では、次々にグリホサートを禁止する流れが起こっています。
日本では上記のような農薬メーカーに忖度したような的はずれな記事が出回っていたり、政府は世界の潮流に逆行して規制緩和を行ったり、ホント「今だけ・金だけ・自分だけ」の3だけ人間が幅を効かせて気が滅入りますね。
子供を守るために、グリホサートを始めとする脳神経への影響が懸念される農薬をこの世界から無くせるように一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。
2020年
5月
08日
金
新型コロナにより子供の教育の機会が奪われることに危機感を持たれているお母さんがたくさんいるようですが、安心して下さい。
むしろ、教育そのものを見直すいい機会になるというのが今日の結論です。
従来、親が師匠であり、農家の子は親から農業のやり方を学ぶ、職人の子は親から職人の技を学ぶということを私たちは古代からやってきました。
ところが、産業革命以降、大量に工場労働者が必要になったことで、公共教育が生まれたのです。
それを示すのが、以下になります。
公共教育の目的(by 19世紀のイギリスの社会学者アンドリュー・ウール)
いったん成長期を過ぎてしまったら、農民の子でも職人の子でも、優秀な工場労働者に仕立てるのは不可能である。
若者を、あらかじめ産業制度用に育てられれば、あとの仕込みの手間が大幅に省ける。
すなわち公共教育こそ、産業社会には不可欠である。
工業社会の裏カリキュラム(by アメリカの未来学者アルビン・トフラー)
・時間を守ること
・命令に従順なこと
・反復作業を嫌がらないこと
この3つが、流れ作業を前提とした工場労働者に求められる資質である。
義務教育の目的、知識の習得ではなく、集団生活を学ぶこと、工場での流れ作業員養成教育だったのです。
義務教育は読み書きそろばんを習得するためにはある程度必要なことですが、資本家や大企業経営者にとって都合のいい従順な労働者育成プログラムという側面もあるのです。
チャイムが鳴ったら席に着く、先生が前に立ったら静かになるとか、そういった訓練を積んでおくと支配階級の人達にとっては非常に都合がいいのです。
産業革命時代の頃から金持ちの子供は家庭教師を雇って、工場労働者用のプログラムとは別な教育をさせています。それは今も同じです。
これからは、AIとロボット化によってどんどん自動化され、従順な工場労働者的人材は必要なくなっていきます。
つまり公共教育そのものを変えないと、不必要な若者がたくさん生まれ、路頭に迷うにことになります。
義務教育が受けられなくて心配するより、これからの時代、子供に何を教えてあげるべきなのかを考える時です。
AIとITによる情報革命により、社会の仕組みが急速に変わっています。GAFAなどの巨大プラットフォーマーの出現によって、お金より評価に価値基準が移っていく時代です。
隣の人と比べ、競争するのではなく、自分を成長させ、共同体の中で自分がどういった貢献ができるのか、そのためには何を学ぶべきなのかが問われる時代です。
そのためには親も子供以上に学ばなくてはならないのです。
学ぶことは自分が変わることです。
時代が急速に変わっているのですから、自分も変えていきましょう。
2020年
1月
03日
金
発がん性リスクが高いグリホサート系除草剤とセットで世界的に栽培されている遺伝子組み換え作物のリスクと日本での流通について解説したいと思います。
遺伝子組み換えとは、トウモロコシや大豆などの遺伝子の一部の配列を人為的に他の生物(例えばバクテリア)の遺伝子と組み換えた作物のことです。
私は大学院時代、作物遺伝学を専攻しており、この分野の基礎研究をしていたこともあるので、素人でも分かりやすく、そのリスクと対策について解説していきたいと思います。
遺伝子組み換え作物の日本での流通について
アメリカでは、栽培されているトウモロコシ、大豆、綿花の9割以上が遺伝子組み換え作物になっており、国内流通加工食品の9割に遺伝子組み換え原材料が使われています。
現在、日本に輸入が許可されている遺伝子組み換え作物のうち流通されているものは、大豆、トウモロコシ、菜種、綿です。
菜種と綿はほとんどが食用油用です。
大豆やトウモロコシも食用油に使われていますが、原材料の割合として5%以下の加工原料(コーンスターチ、水飴、果糖ブドウ糖液糖など)には遺伝子組み換えの表示義務がなく、すでに多く使われていますので、私達は知らず知らずのうちに遺伝子組み換え作物を摂取してしまっています。
日本は大豆やトウモロコシの自給率が非常に低く(大豆約7%、トウモロコシ(スイートコーンは除く)は0%)、ほとんどを輸入に頼っているために、実は日本は世界でも有数の遺伝子組み換え作物消費国なのです。
それでも、豆腐や納豆、みそなどの原材料の重量比で上位3位以内かつ5%以上のものに関しては表示義務があるため、遺伝子組み換えではないものを選ぶことができます。
これは、JA(農協)の子会社である全農グレインが遺伝子組み換えではないものを分別生産管理して輸入してくれているおかげなのです。(農協は既得権益者だとして叩かれていますが、全農グレインの存在が邪魔なアメリカの穀物企業の影響があると言われています。
遺伝子組み換え表示に関係する食品表示法の改正について
令和2年の4月1日から施行される商品表示に関する法改正により、「遺伝子組み換えでない」という表示が「不検出」のものに限るという厳しいものに変わります。
その結果、製造工程上予期せぬ混入がある場合でも5%以内であれば遺伝子組み換えでないと表示できていた製品も表示ができなくなり、多量に入っている製品も、わずかしか入っていない製品も私達は区別ができなくなるのです。
これまで、できるだけ遺伝子組み換えでない原料を使用することによって消費者に選んでもらえるという動機があったのですが、表示ができなくなってしまえば、なし崩し的に遺伝子組み換え原料が使われてしまうことが懸念されます。
遺伝子組み換え作物のリスク
実のところ遺伝子組み換え作物は危険なのか?それとも安全なのか?
遺伝子組み換えが危険だと言われる根拠に2012年に発表されたフランス、カーン大学のセラリーニ教授らが行った動物試験がある。動物実験の結果、遺伝子組み換えのトウモロコシを餌として食べたマウスがガンになったことより、遺伝子組み換えの危険性が世間に広まった。
しかしながら、2019年2月、EUの「G-TwYST」(EUから資金援助を受けたプロジェクトで、遺伝子組み換え植物の2年間安全試験)が行った大規模な検証試験の結果が発表され、セラリーニ論文の妥当性が改めて否定された。(2019.10.25 JAcom webサイトより)
つまり、今の所、遺伝子組み換え作物自体が危険であるという科学的根拠に基づく証拠はないといえる。
そもそも、遺伝子組み換え自体は人為的とはいえ、自然界で稀に起こるメカニズムを応用したもので、私が大学院で研究していた頃も、安全性に問題があると指摘する研究者はあまりいなかった。それよりも、遺伝子組み換え技術により、人口増加による世界的な食糧不足を解決する一つの手段として期待されていたのです。
ただ、遺伝子組み換え作物は除草剤や殺虫剤とセットで使われるもので、除草剤に耐えることのできる遺伝子を組み込んでいるがために、発がん性があるグリホサート系除草剤を多量に使って栽培さてていることの方が危険だと言えます。
グリホサート系除草剤は、かなり低い濃度でも女性ホルモンの合成に関与する酵素の活性を低下させることや精巣細胞への悪影響が科学的根拠を元に指摘されています。
グリホサート系除草剤のリスクについては以下で詳しく解説しています。