日本の農業はこれからどうなるのでしょうか?
みなさんも日本の農業の行く末について心配されているのではないでしょうか。
「食べる」ことは「生きる」こと。食べ物をつくる仕事、「農業」について考えてみましょう。
「食べる」ことは「生きる」ことです。
食べたものが消化されて、体の組織の一部一部になります。
血も骨も筋肉も、汗も涙さえも食べたものから作られるのです。
食べる物を粗末にしていることは自分の体を粗末にしているといえるかもしれません。
そして、自分の暮らしている地域で採れたものを食べることが、体にとって一番良いということが言われますが、自分が感じる四季折々の自然、太陽、空気、水といったものを取り込んで育った農作物を食べるわけですから、いわば当然のことでしょう。また、ものを運ぶことに費やされるエネルギーや二酸化炭素の排出など、環境面について考えた場合でも地産地消の果たす意味は大きいと言えます。
現在、自由貿易がすべて正しいと考える「グローバル資本主義」に染まりつつある日本ですが、生きることの源である「食」を他の国に任せてしまうことが果たして正しいことなのでしょうか。
TPP(環太平洋パートナシップ)協定でもわかるように、徐々に安い農産物が関税なしに日本に入ってくる風潮が大勢です。そうなると、確実に国内に流通する農産物価格が下がり(価格競争が起きるため)、国内の農家の経営を圧迫し、ただでさえ高齢化&後継者不足の農業は大打撃を受け、衰退することは確実です。(一部の付加価値の高い農産物を生産する先進農家は別ですが。)
しかし、これは食料の安全保障については極めて危険な状況です。
ここ最近の異常気象や天候不良を考えると、輸入元の農作物が不作となり、農作物の輸入がストップしてしまうことも十分にあり得ます。そうなると、国内で自給できない私たちは食べるものを失いかねません。もっと言うと、日本で普通に餓死する人が何万人とでることもあり得るのです!
そういった危機的状況に陥らないためには、ただ安いからと輸入品にたよるのではなく、みんなが国産、さらには地元産を積極的に購入する意識を持つことが大切ではないでしょうか。
ちなみに、海外の安い農産物を買う、消費することは、国内農家に回るはずの所得を他国の農家にまわすことです。回りまわって自分の所得を減らすことにも繋がるのです。だから、自分のためにも日本全体のためにも国産を選択することが最善と言えます。
さらに、地域の学校給食に地域の無農薬野菜や、無農薬栽培米を取り入れるなんてのもいいと思いませんか?地域の財政難も影響して給食は一食200円程度で作られているらしく、無農薬どころか国産かどうかもわかりません。未来を担う子供達にこそ安全で美味しい食べ物を食べて欲しいです。
その安い給食費でさえ滞納する親がいるというニュースを耳にします。一部はモラルの低下が原因かもしれませんが、格差社会の現れとも言えるのではないでしょうか。中小企業では実質賃金が上がらず、生活を切り詰める方が多い世の中です。
子どもには貧困の責任はありません。給食費は国庫負担で行い、質の高い給食を子どもたち食べてもらえばいいと思います。
日本の未来を担う子どもたちの健康に直結する給食費を国家財政で賄うことに反対する理由はないでしょう。
授業の一環として農業体験を積極的に導入し、つくる喜びや苦労を身をもって体験することで、食育とともに農業の大切さを子供のうちから知っておくことが、日本の農業の未来を守ることにもなると思います。
本来、日本は降水量が年間を通して多く、気候も安定していますので、農業に大変適した国だと言われています。その日本の農業におけるアドバンテージを最大限に活かし、最も風土にあうのが稲作です!
しかし、現状では米作り農家の内、90%を占める、1ha未満の零細兼業農家は労働費(人件費)等を考慮すると赤字です。気候条件に恵まれた日本に最も適した稲作でさえ採算が合わないということはどういうことなのでしょう。その主な原因は機械化とそれに見合わない生産規模だと思います。
稲作にはトラクター、田植え機、コンバイン(収穫機)など多くの機械が開発され、生産性が目覚ましく向上してきました。そのおかげで国内で生産される米は余り気味で、しかも消費が減ってきていることから価格が年々下落しています。農業機械は大変高額で、今の米の価格でこれらの機械を維持管理して経営するには、ある程度の栽培規模が必要です。
しかし、見ず知らずの人に土地を貸すことに強い抵抗があるため、農地を集めるのはなかなか大変です。また、補助金のバラ撒きにより片手間でやっている小規模な兼業農家を温存してしまい、本気で経営している農家の規模拡大の妨げになっている面もあるかも知れません。
生き物相手の農業は、日々の観察が何より重要で、兼業でたまの土日にしか農作業を行わない農家では本当にいい農作物は作れないと思います。
補助金を一律にばらまくのではなく、平野部では農地集積に補助金を出し、安定経営の成り立つ規模の専業農家を育成し、土地効率の悪い中山間地域では、補助金で所得を保障し、消費者の健康や環境保全・地域資源の維持を目的とした社会的意義のある農家を育成するのはいかがでしょうか。
これこそが国が行うべき仕事だと思います。
現在農業を中心的に担っている昭和一桁代の農業従事者がこれからどんどんリタイヤしていく状況を考えますと、国内農業の一時的な生産性の低下が危惧されますが、平野部では農地の集積化にはむしろ好都合な面もあります。大規模化と現在開発が加速しているIT化の相乗効果により大幅な生産性の向上が期待でき、稲作などの機械化が容易な作目では農業生産人口の減少の大部分をカバーできるかも知れません。しかし、トマトやナスなどの果菜類をはじめ、野菜栽培では機械化が容易ではないため、持続的かつ安定供給を維持するためにも新規就農者確保は重要課題と言えるでしょう。
そんな状況の中、若い世代にも自然や、農村へのあこがれを持ち、農業を志す人が増えています。
ただその受け皿が整備されていないこと、農業に対する将来的な不安が大きいことなどから、第一歩が踏み出せないでいる人が多いと思います。
確かに、資金も土地も経験もノウハウもない若者が農業という名の起業をするのは大変なことです。それこそ人生を左右する一大決心をしなければならないでしょう。
現在行われている就農支援事業は、新規就農希望者個々に対して農業技術・経営能力の習得を求めています。つまり個人農業経営者として自立させるための支援です。
それゆえにハードルが高く、かなりの貯金や経営プランを用意していなければ、支援するはずの行政機関から考え直すよう促されることがほとんどです。私も散々考え直すように言われました。
しかし、それでは若い人が農業に参入できるはずもなく、就農を希望している人がみんな経営能力やマネージメント能力に長けている、または自信がある人ばかりではないはずです。
ただ単に、自然の中で心豊かな人間らしい生活を送りたいと思って農業に興味をもっている人も多いのではないでしょうか。
農業はベテランの方でも経営面の工夫なくしては十分な収入を得ることが難しい職業です。天候や国の政策にも左右され、決して安定した職業とは言えないのが現状です。
だからこそ、各地で資金面や制度面で手厚い支援を行っているにもかかわらず未だに後継者不足が解消されないのではないでしょうか。
そんな中、個人ではなく、たくさんの人が協力し合いながら農業をおこなう形態であれば、経営やマネージメントが苦手な人も、農作業に特化して働くこともでき、逆に体力はなくても、経営能力や営業能力に優れた人は、経営や営業で頑張ればいいのです。
農業は起業です。この不景気な先行き不安な世の中で、起業する勇気のある人がそんなにたくさんいるでしょうか?
私は、普通の会社のようにある程度の安定性を備えた農業組織に就職するという形で就農する方が若い世代の人が入ってきやすいと思います。
もちろん短期・長期の体験実習やインターンシップの実施、就農を決めた人には軌道に乗るまでの給付金制度や住居の貸与等のこれまでの支援と同じものは必要です。
あともう一つ重要なのは、若い人は就農目的に自然環境保全を意識したタイプの農業を希望する場合が多く、化学肥料や農薬の使用を極端に嫌う人も多いのではないでしょうか。
消費者の無農薬野菜へのニーズへの対応と同様に新規就農者を確保するためにも自然環境保全型・循環型農業に対する支援の必要もあると思います。
これは日本農業が安い外国産農産物に打ち勝つためにも、美しい日本の自然環境を守るためにも必要な流れだと思います。
もちろん、日本の農業を集落営農組織や農業法人ばかりにするわけではなく、都市近郊では週末農家のような兼業自給農家が野菜等をつくることは、「食」を考える機会にもなり、からだや心の健康の面でも大事なことだと思います。